高尚なラーメン屋で低俗な悪口を言うな
それはある日の帰り道、仕事でヘロヘロになった心と体を癒すべく、私はラーメン屋に向かった。
そこはカウンターのみのこじんまりとした店だった。
来店2回目の私は、あえてデフォルトでないメニューをチョイスした。
旨かった。
旨いラーメン屋はどれを食べても旨い。
私は完全に満たされた。
・・・・・・はずだった。
おい、私の後ろで食ってる二人組の女!
さっきからうるせぇんだよ!
高尚なラーメン屋で低俗な同僚への悪口を言うな!
場所を選べ!
店外におっさん3人組待ってるだろ!
「食い終わったら去れ」がラーメン屋の基本なんだよ!
こんだけ近距離で大ボリュームだと、全然関係ない人の、全然関係ない話でも気分悪い。
あのな、そこのショート、「折り合いの悪い同期からどんなに悪口言われても、全然気にしない」とか言ってるけど、めちゃくちゃ気にしてるじゃねぇか。
まずは傷つきまくってる自分を受け入れろ。
話はそこからだ。
あとそっちのボブ!
お前は病んで狂ってる自分に酔いすぎなんだよ。
急にキィキィ泣くな。
ここラーメン屋だぞ。
ほどなくして店主に促され、女二人は退店していった。
入れ替わりに入ってきたおっさん3人組は、店に入るやいなや、高校野球の話をはじめた。
めちゃくちゃ楽しそうだった。
早くその域にいきたい。