犬ちゃん狂想記
ブタゴリくん・おひや・ケシミニャン・ニューウィング吉田・kamatahhh(敬称略)共著の『猫ちゃん狂想記』に触発され、私も動物にまつわるエッセイが書きたくなった。
という事で、犬にまつわるエッセイをひとつ。
昔々、私が物心つきたての頃、祖父母宅でダックスフンドを飼っていた。
目黒のペットショップ生まれ、目黒の庭付き一軒家育ちのダックスフンドは、家族からの寵愛を受け、それはそれは優雅に暮らしていた。
しかし、ある日事件は起こった。
ダックスフンドが脱走したのだ。
しかもその瞬間を、幼い私は目撃していた。
誰かが重厚な玄関ドアを開けた瞬間、狭い隙間をぬって一目散に走り去ったダックスフンド。
唖然とした。
彼は、一体何が不満だったのだろう。
エサだって、いいのをもらってたはずなのに。
突然の出来事に、みんな慌てふためいた。
茂みの中、建物の隙間、いつもの散歩ルートなどなど、血眼になって探し回った。
で、早めに諦めた。
確か、5日目ぐらいには捜索作業から完全撤退していた。
貼り紙を作っている様子もなかった。
今回は残念だったけど、また新しい犬を買えばいいよと。
あれからダックスフンドは二度と姿を見せず、今に至る。