内向的な癖にバー通いに挑戦していた頃
かなり前になるが、バー通いに挑戦していた時期がある。
仕事が終わった後、ふっと立ち寄れる大人の社交場に憧れていたのだ。
だって、家に帰ってひたすら本を読んでいるより、行きつけのバーでマスターや常連とワイワイしている方が充実している感じがするではないか。
厳選に厳選を重ねた結果、元バックパッカーのマスターがやっている、フランクな感じのバーに的を絞った。
初訪問、初対面なのにガンガン話しかけてくる常連のおじさんに面食らう。
気づけば証券会社時代の名残りで、営業っぽいしゃべりになっている自分に気づく。
2回目の訪問、マスターとも他の常連ともがっつりコミュニケーションを取らなければならない雰囲気が出来あがっていた。
私は思わず、心の扉をグッと閉じた。
3回目の訪問、頼むから誰も話かけないでくれと天に願った。
何だか猛烈に一人になりたい。
そもそもアルコールだって苦手なのだ。
そんなこんなを繰り返しながら、それでも何の意地か週2ペースで2ヶ月バーに通った。
自分を変えたかった。
変わらなかった。
仕事よりもバー通いがストレスになっていた。
どうしても行きたくなかった。
私は社交性を諦めた。