転職戦記⑩~クールダウンの必要性~
怒涛の面接地獄を終え、結果、応募した30社全てに落ちた。
それに伴い、リクルーター・マサルとの関係も悪化した。
電話越しで励ますような事を言っていたが、語気が荒かった。
彼の商売は、無事に転職先が決まって初めて利益が出るものだ。
「こんなにサービスしてやってんのに、なぜお前は一個も結果を出さない。ちゃんと対策してんのか?」が本音だろう。
時は2017年の年末。
やる気だとか自信だとかそういった類のものは私の体に居場所をなくし、足元周辺をもぞもぞと這いずりまわっていた。
『こいつらはしばらく私の体に帰ってこない。』
そう確信した私は、マサルからの「こんな企業ありますけど応募しませんか?」メールを全力無視して、2週間転職活動を休止する事にした。
ぼんやりしていると株式会社ザコへの怨念がこみ上げてくるので、気持ちをそらせる為、ベッドに潜りひたすらYouTubeを見続けた。
興味のないアイドルグループのライブ映像、モテそうな女のおすすめ美容グッズ紹介、おもしろ放送事故のまとめ、捨て猫が人に心を開くまでのドキュメンタリー、松居一代の投稿動画、それを大々的に扱ったワイドショーのワンコーナー、松居と船越の夫婦共演シーンetc・・・
YouTubeは海だった。
無限に時間が潰せる、あと半年はいけそうだ。
そして、ふてくされ引きこもり生活にも飽きてきた頃、頭の中で今後の方向性がまとまった。
具体的には以下の通り。
・自分が受かりそうな企業を厳選しよう
・2~3社ぐらいずつゆっくり受けていこう
・IT関連のオンラインスクールに入会し、知識の充足を図ろう
・「御社でやりたい事」を5個以上考えよう
・マサルには完全にナメられてるから、冷たく接しよう
2018年の正月明け、少しだけ頭が冴えているのを感じた。
私は再び戦地に赴く決意をした。