この鬱がすごい!

2018年重度のうつ病を発症。必死のリハビリも虚しく、社会からドロップアウト。神経性疾患多数あり。

ネタバレ全開!映画『パラサイト 半地下の家族』の感想を殴り書く

去年から待ちに待って待ちくたびれていた、ポン・ジュノ監督の映画『パラサイト 半地下の家族』をついに鑑賞した。


めちゃくちゃ面白かった。
上がりきったハードルのはるか上を越えていった。
ポン・ジュノには羽が生えていた。

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あらすじ
半地下住宅に住むキム一家は全員失業中で、日々の暮らしに困窮していた。ある日、たまたま長男のギウ(チェ・ウシク)が家庭教師の面接のため、IT企業のCEOを務めるパク氏の豪邸を訪ね、兄に続いて妹のギジョン(パク・ソダム)もその家に足を踏み入れる。


元より、私はポン・ジュノ監督作が大好物なのだ。
ほえる犬は噛まない』『グエムル 漢江の怪物』『殺人の追憶』『母なる証明』、どれも私にとって大切な映画である(ちなみに一番は『母なる証明』)。


あの"どこへたどり着くか分からない感"が堪らない!
予定調和なんて大嫌いだ!


最新作『パラサイト 半地下の家族』でもポン・ジュノイズムは健在、めくるめく展開に振り回されながら、とんでもない境地に連れて行かれた。


※ここからは、ネタバレを含みます。
これから鑑賞予定の方は直ちに引き返して下さい。
私のブログでネタバレするとか、もったいないです。


前情報から察するに、貧乏家族が金持ち家族に寄生しながら、知恵とガッツで全てを乗っ取っていく痛快コメディだと思っていた。
「金持ち家族VS貧乏家族」という分かりやすい構図を予想していた。


甘かった。
ポン・ジュノなめてた。


実際は、持たざる者同士の壮絶なポジション争いの物語だった。
金持ちは、最初から最後まで徹底して同じフィールドにいないのだ。

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貧困の世界なんて見えていないし、見ようともしない。
同じ国で、すぐそばに存在しているのに。


他人を装っている貧乏家族4人から同じ臭いがしても、それ以上追求しない。
元家政婦の旦那が地下シェルターに住んでいる事にも余裕で気がつかない。


だからこそクライマックスの大乱闘シーンで、「自分には関係ない」とばかりに高級車で逃げようとした金持ちパパを、貧乏パパがグサリとやった時の爽快感たるや凄まじかった。


それはもう、「こっちの地獄に巻き込んでやる」と言わんばかりの反撃だった。
アドレナリンぶっしゃー!である。

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オチは、「曖昧なバッドエンド」だと自分なりに解釈した。
貧乏家族は唯一の財産であった、貧乏兄ちゃんの知能と貧乏姉ちゃんの芸術的才能をも失ってしまった。


貧乏兄ちゃんに大金を稼ぐあてなどあるのだろうか。
貧乏パパの地下シェルター生活も長続きする様に思えない。


セリフ上は前向きな事を言っているが、どこか空虚で、この家族が置かれた状況の救いのなさを感じた。
これには精神的にかなりやられた。


その他にも、鑑賞後自分なりに考察してみたくなるシーンの多い作品だった。
例えば「子供は親を選べない」と言うけれど、それは金持ち子供にも言えるんじゃないか?とか。

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最後に!金持ちパパの下手くそな愛撫シーンには怒りを禁じ得なかった。
あんなのにしか抱かれない人生なんて、ゾッとする。
年収1億でも結婚したくない。