余談の自分よりダメな人①
前回書いた自分よりダメな人(あくまでも私の主観で)の動画を見漁るという行為、実は鬱になる前もそれに近い事をしていた。
特に新卒で入った証券会社の営業員マッチョ(仮名)の情報はよく漁った。
マッチョは私より一期上で、入社3年未満の若手の中では一番成績が良かった。
カッチカチにセットされた髪型、ブレずに一点を見つめる瞳、いかにも体育会系といった佇まいで証券営業らしさを体現していた。
新入社員研修にも召還され、自分の成功談、営業のノウハウらしきもの、モチベーションの保ち方などを演説した。
ほとんど薄っぺらい精神論だった様に記憶している。
右も左も分からない社会人1年目の若造達は膝に手を置いて、それを真面目に聞いた。
マッチョが読んで良かった本として、くっだらないビジネス書を持ってきた。
印象に残ったページを印刷して、新入社員に配りはじめた。
度肝抜かれた。
マッチョの暴力的な蛍光ペン跡が痛々しかった。
確か「信頼関係を構築するには、まずお客様の事を良く知ろう」みたいな事が理屈っぽく、それでいてバカにでも分かりやすい様に書かれていた。
その後マッチョを囲む座談会が開催された。
私は演説の時点でおなか一杯だったので、早く返って欲しかった。
現場配置1ヶ月後の新人研修だったので、1年生からの「こういう時どうすればいいですか?」といった質問に「もっと外交しなきゃダメだよね。」で全部返していた。
私は終始ヘラヘラしてごまかした。
頭の中では「フットボールアワーって今東京にいるっけ?いや、水曜はジャイケルマクソンの収録があるから関西か。」といった有意義な事を考えていた。
最後に人事から、「マッチョは自分の仕事があるのにわざわざおまえ等の研修に来てくれたんだぞ。感謝しろ。」的な事を言われた。
「頼んでねえよ!勝手に召還しといて感謝を強要するなよ!馬鹿が!」と思った。
続く・・・