新婚旅行が香川になった②
神のいたずらで、スペインから香川に行き先の変更を余儀なくされた。
そんな我々の2泊3日新婚旅行。
2日目、身支度を整え大広間に移動すると、ホテルの朝食をがっついた。
「宿泊料に含まれているから」と、貧乏根性をほとばしらせた。
今日は、高速フェリーで小豆島に向かう。
港から30分ちょっとで着いたその島は、空気がいい具合に弛緩し、バカンス感があった。
さながら乾季のバリ島、そう、海外に行く必要など無かったのだ。
まずは、島で一番美味いと評判の『おおみねのうどん屋さん』で腹ごしらえをする。
注文した「大根おろしぶっかけうどん」の丼の中には、うどんを食べる喜びの全てが詰まっていた。
小麦が美味い、素材が立っているとはこの事か。
是非とも、中野支店を作って欲しいと思った。
腹が膨れると、バスを乗り継いでオリーブ公園に向かう。
オリーブは小豆島の特産品である。
公園のシンボルとなっているギリシャ風車前では、ホウキにまたがり写真を撮っている人が多数。
どうやら、『実写版 魔女の宅急便』のロケ地として町おこしをしているらしい。
吐血した。
ジブリファンの間で無かった事になっているあいつが、さながら不朽の名作のごとく、この地でふんぞり返っている。
世の中には隠した方がいい実績というものがある。
私の場合、"最高で1ヶ月にお笑いライブ25本"がそれに当たる。
小豆島観光の締めは、エンジェルロード。
潮が引けて海の中に一本道が現れる様は、非常に幻想的で、「天使の散歩道」「恋人たちの聖地」の名にふさわしかった。
観光協会がロマンティックと結びつけたくなるのも納得する。
人が少ない時間帯ならば、結構な熟年夫婦でもベロチューしてしまうのではなかろうか。
新婚旅行も残すところ1日。
「残りは己の消化器を信じ、行ける所までうどんを喰らおう」と旦那と誓い合った。
その会話に、先ほどまでのロマンティックはかけらも残っていなかった。