モテキかと思ったらマルチ商法だった~後編~
前編のあらすじ・・・
突然、疎遠になっていた元ゼミ仲間のマル君から熱烈アプローチを受け、食事に行く事を快諾したうさばら氏。
「ついに私にもモテキが来たか」と浮かれるのもつかの間、国際フォーラム内のパン屋(イートインスペース有り)に連れて行かれる。
食事って総菜パンとイートイン用のワンドリンクの事ですか?
嫌な予感しかしないが、まだモテキの線も捨てきれない!捨てたくない!運命やいかに!
店に入ると、トレイに並ぶパンに見向きもせず、レジに直行するマル君。
どうやらパンも与えず、ドリンクだけでこの場をやり過ごすつもりらしい。
私はカフェラテ300円を注文した。
マル君は自慢げに「おごるよ!」とのたまい、カフェラテ代を出した。
席に着くとさっそく「うさばら氏ってお笑い好きだったよね?今おすすめの芸人さんっている?」と聞いてきた。
私の趣味嗜好に興味を示してくれる人なんてこれまで皆無だった。
え?やっぱりモテキ到来してるんじゃないか?
私はほぼ息継ぎなしで、「スーパー千鳥パーティー」の素晴らしさを語りつくした。
山ちゃん、ネゴシックス、中山功太、ダイアン津田、とろサーモン久保田は「大悟軍団」である事、ダイアン西澤(現・ユースケ)、とろサーモン村田は「ノブコミュニティ」である事、山ちゃんと功太がケンカしてしばらく「スーパー千鳥パーティー」が出来なかった事、ノブが急病で欠席した回の功太があたおか(頭おかしいの意)だった事etc・・・
マル君は時折心地の良い相づちを打ちながら、私の話を聞いてくれた。
そうか、こういうのが聞き上手と言うのか、関心関心。
そしておもむろに口を開いた。
「うさばら氏って、確か旅行とかも好きだよね?調度カバンの中にこんなパンフレットがあるんだけどさ。」
ですよね、そう来ますよね、そりゃ勘づいてはいましたよ、でも現実を見ないようにしていたのです、モテキだと思いたかったのです、自分があまりに哀れだから。
こんな事なら強引にパンコーナー連れてって、パン2500円分(にーごー)買わせるんだった。
「これの会員になると、旅行が格安で行けるんだよ。これは〇〇島でこれは〇〇島、素敵じゃない?」
最初は見込み客に好きな様にしゃべらせて、和んだところでスムーズに商品の話に移行する、証券営業時代に習いました。
マル君よく出来ました、あなたは立派な勧誘員です。
でもね、私、そんなのに騙される程バカじゃない。
不快感も絶頂に達したので、そろそろ逃げるとします。
私は、トイレに行くと言ってバッグごと席を退散し、隙を見てパン屋を抜け出した。
有楽町から銀座方面に、夜の街を駆け抜ける。
バカ野郎!バカ野郎!バカ野郎!
あてもなく走っていると、なぜか『ナイルレストラン』にたどり着いた。
「これも何かの縁か」と中に入り、ムルギーランチを混ぜて混ぜて喰らった。
忘れられない味となった。