転職戦記③~リクルーター・マサルとの出会い~
根本からの大修正を加えた証明写真を携え、颯爽と大手リクルーターの門を叩いた。
そして、それはそれはお可愛らしい受付嬢に小部屋へと案内された。
私は数秒間、美人に生まれたらあったはずの人生を思い浮かべ、すぐにそれをスパナでぶち壊した。
当時、ひどい事をしてきた奴らを見返す事だけ考えていた。
今思えば、転職した所で別に見返した事にも何にもならないのに、全く滑稽である。
ノックの音がして、いかにもリクルーターといった風貌の男性が入ってきた。
笑顔が貼りついていてうさんくさい。
「はじめまして、うさばら氏さんを担当させていただきます、マサル(仮名)と申します。宜しくお願いします。」
お前が(私の脳内で)噂のマサルか、信頼足る人物かどうか今の時点では分らんが、とりあえずよろしくな。
「送っていただいた職務経歴書と履歴書拝見させていただきました。少し転職回数は多いですが、転職の筋が通っているので大丈夫かなと思います。IT系の企業は人材が流動的ですし、うさばら氏さんの様な好奇心旺盛で勤勉な人を好むので。」
そうか、私はまだイケるのか、マサル最高。
あなたについていきます!
すっかり乗り気になってマサルに言われるがまま、大量に入社試験を受けまくる。
そして、泣きを見る。
上がって下がって、情緒不安定の極みである。