命の電話
警察で職質された後、少しだけ正気を取り戻した私は、一度彼氏に電話をする事にした。
この瞬間、確かに私はやっかいなメンヘラ女だったかもしれない。
ただ、自殺をチラつかせて関心を引きたい訳ではなかった。
「どうしても今日中に死ななければならなくなった」旨をこちらから一方的に報告しようと思ったのだ。
今思えば全くの意味不明である。
電話の内容はほとんど覚えていない。
かなり長い時間、押し問答があった様に思う。
私は泣き叫んでいて、言葉にならない声を発していた。
人前で泣くのはみっともないので、今まで泣かなかった。
弱っている姿を見せたくなかった。
それは、彼氏に対しても同様だった。
さぞびっくりした事だろうと思う。
そして長い時間をかけて、「この後すぐにうちに来て欲しい、明日は会社に行かなくていいから」という言葉を飲み込んだ。
彼氏の家に着いても私はまだ泣いていて、そのまま意識が飛ぶように眠りについた。
今度こそ一日が終わった。