過呼吸でビルのトイレに駆け込んだら、ババアに警備員呼ばれた話
あれは何回目かの復職面談で、駅から会社に向かっている途中。
私は不安と緊張で過呼吸になった。
電車に乗っている時から予兆はあった。
いずれ治まるものと思っていたが、会社に近づくにつれてどんどん苦しくなっていった。
「あなたの居場所はもうない」と言われるんじゃないか?
遠まわしに退職を勧められるんじゃないか?
強い言葉で傷つけられるんじゃないか?
被害妄想が爆発して、こめかみがドクドクした。
次第にめまいがして立っていられなくなった。
そこでとっさに、会社の2コ手前のビルのトイレに駆け込んだ。
個室にへたり込み、電話で人事に体調不良で遅れる旨を伝える。
息をゆっくり整え、冷や汗を拭いて水を飲む。
少し落ち着いてきた頃、何やら外が騒がしいのに気付いた。
そして、ドンドンと扉を叩き「すいません、どうかされました?」と聞かれた。
私は「大丈夫です、今出ます。」と返した。
外に出るとさっき声をかけてきたであろうババアと、その同僚と思われるおっさん、警備員が待っていた。
ババア:あなたこのビルに勤めてる人じゃないですよね?
うさばら氏:すいません、急に過呼吸になってしまって使わせていただきました。
ババア:でも、電話してましたよね?
うさばら氏:私この2つ隣の会社に勤めてるんですが、体調不良で遅れる旨の電話をしました。
ババア:でも、このビルの人以外使うなってここに書いてありますよね?
うさばら氏:だから、緊急だったので使わせてもらったんです。申し訳ございません!
警備員:まぁまぁ。
ババア:電話はここでする様にも書いてありましたよね。
うさばら氏:あの、ですから立ってもいられない程の過呼吸だったんです。そんな余裕なかったんです。さっき言いましたよね。
ババア:でもね、あなたおかしいですよ!
うさばら氏:10分という長い時間、御社のトイレを使わせていただいてありがとうございました。大変なご迷惑をおかけしました!
警備員:まぁまぁ。
ババア:ブツクサ・・・ブツクサ・・・(退場)
うさばら氏:畜生!クソが!(壁を蹴る)
警備員:まぁまぁ。
後日無事に復職し、出勤前に信号待ちしていると、そのババアと鉢合わせた。
ババアはこちらに気づくとハッとして、手で顔を隠した。
私は回り込んでババアの顔を凝視した。