マンガ『こころのナース夜野さん』が優しい
体調が下向きだった時分、何となく心の問題を扱った作品が読みたくなり、水谷緑著のマンガ『こころのナース夜野さん』を購入した。
孤独な心にそっと寄り添ってくれる様な、優しい作品だった。
過去作『精神科ナースになったわけ』も好きだったが、今回も素晴らしい。
あらすじ
言葉にならないSOSと向き合う医療が、精神科。
心の病気からそれぞれの人の真実を知っていく物語です。
世間から「頭のおかしい人」と雑にくくられ嫌厭される人々の心に、真摯に向き合おうとする精神科ナース達。
かといって、入り込み過ぎると治療する側が精神的にやられてしまう世界。
実に過酷な世界だと思う。
"心の病"の現場で働く人には、頭が上がらない。
例えば、部屋に大量の虫が湧くと訴えるおじさん。
お宅訪問すると、案の定虫なんて一匹もいない。
それでも精神科ナース達は、虫駆除業者を装って、熱心に部屋を掃除してあげる。
おじさんが見ている世界を、受け入れてあげるのだ。
そして、少しずつ解決の糸口を探っている。
例え人に理解されなくとも、彼らには彼らなりの理屈がある。
それに少しでも共感してもらう事が、どれだけ救いになるか。
共感されない事による孤独は、私も何度も経験してきた。
発病して間もない頃、「脳から汗が出る」「文字がバラバラに見える」「母が会社に殴り込みに来る」など、どんなに訴えても誰も取り合ってくれなかった。
あまりにも元気なフリが上手かったせいもあるのだろう、私を重度のうつ病と認めてくれなかった。
「気を楽に持ってください」とか「今は人生の夏休みですよ」とか「俺が見たうつ病患者はもっと酷い」とか、悪意がない分タチが悪い。
もっと全身全霊で"体調悪い"を表現しなければ、信じてもらえないものか。
皆が思う"重度のうつ病患者像"に全て当てはまらなければ、ダメなのか。
不調を必死で隠した事が仇になるなんて、何て理不尽な。
私は精神的孤独の極地にいた。
あの頃、夜野さんがそばにいてくれたらな。