映画『八つ』で強迫性障害の世界を疑似体験
脚本家・映画監督・スクリプトドクターの三宅隆太氏がオススメしていた映画『八つ』をアマゾンプライムにて鑑賞した。
強迫性障害を患った女性が主人公と聞いて、即座にウォッチリストに入れた。
自分が鬱になってから、精神疾患全般に関心を持つ様になったのだ。
内容紹介
強度の広場恐怖症と強迫性障害に悩むサラ。
彼女は二年間も家に閉じこもったまま。
毎日、いろいろな儀式が八回繰り返されます。
しかし、今日サラは、一見不可能で簡単なの1つタスクを達成しようと試みます。
それは、ドアの外に一足踏むということ。
画面に映るのは薄暗い部屋と主人公のみ、カット割り・BGMなし、ストーリーもあってないようなもの、セリフもほとんど出てこない。
途中で投げ出したくなるかもしれないが、どうか最後まで観て欲しい。
80分間ノンストップで主人公を観察し続ける事で、強迫性障害の世界を疑似体験出来る。
そこに、この映画を観る意義がある様に思う。
タイトルの『八つ』は、主人公がやらなければいけない(と少なくとも本人は思っている)儀式に由来している。
手を8回洗う、体をブラシで8回こする、タオルを8回折る、カギを8回まわす・・・
「八つ」に支配された生活を送る彼女は、とても苦しそうだ。
それでも賢明に前に進もうとする姿に胸を打たれた。
皆、自分なりに頑張っているのだ。
部屋に引きこもっているのは、決して"甘え"からではない。
自分が鬱になってから、精神疾患に対する世間の無理解を何度も目の当たりにした。
「気を楽に持てば大丈夫!」
「旅行でもすれば治るんじゃない?」
「ずっと寝ていられて羨ましい!」
全て実際に言われた言葉である。
正す気力も起きず、モヤモヤしたまま小さく絶望した。
悪気が無いのは分かっている。
完全に理解して欲しいなんて思わない。
ただ、もう少しだけ想像力を働かせて欲しい。
これはれっきとした病気なのだ。
私は、精神疾患に縁が無い人にこそ、この映画を観て欲しいと思う。