離脱症状は眠れない
"寝逃げ"という技がある。
嫌な事があった時、不安に押しつぶされそうな時、体調が優れない時、何も考えずとりあえず寝てしまう事で、心身の調整を試みるあれだ。
ベンゾジアゼピン系精神薬の離脱症状には、寝逃げが使えなかった。
なぜなら"ベンゾジアゼピン系"には、睡眠薬の『トラゾドン』『ブロチゾラム』も含まれており、抗不安薬の『デパス』と同じタイミングで断薬しているから。
ただでさえ眠りに難があるにも関わらず、重度の鬱になり、頼みの綱の睡眠薬も取り上げられ、さらには離脱症状という地獄の苦しみが課せられる。
眠れるはずがないのだ。
毎晩布団の中、汗だくになって苦しみもがく。
苦しみに苦しんで、苦しみ疲れた先に、ようやく束の間の睡眠時間が待っている。
そこを目指して、無心に苦しむ。
途中目覚めたら、もう一度最初から。
正気と狂気の間を行ったり来たり。
この時、主治医から課されたミッションは一つだけ。
どんなに辛くても、自分で命を断たない。