睡眠薬ひとかじりで飛ぶ
ベンゾジアゼピン系精神薬の離脱症状で、眠れぬ日々を送っていた。
そんな夏のある日、ついに精神が臨界点に達してしまった。
断薬から3週間ほど経った頃だと思う。
「今日中に気が狂う」と明確に分かった。
物事には限界がある。
気合いと根性だけではどうにもならないのだ。
正気よ、さようなら。
明日から私は狂気の人。
せめて今日だけでもまともに眠れれば、だいぶ楽なのに・・・
やむなく、これまで断ってきた睡眠薬『トラゾドン』を半錠かじってみた。
これでダメなら、潔く狂おう。
一気に脳内を快楽物質が流れるのを感じた。
フリスク30箱分の爽快感が、体中を駆けめぐる。
ハチャメチャに気持ちがいい。
副交感神経がどうかしてしまう程に。
これがいわゆる"飛ぶ"なのだろうか。
服用していた分量に比べるとかなり少ないのだが、その日は嘘の様にぐっすり眠れた。
薬の力は偉大である。
それから、「本当にピンチになったらトラゾドンを半錠かじって良い」というルールを新たに設け、何とか急性期を乗り越えた(といっても、合計で3回しかかじらなかったのだが)。
それにしても、あの"飛ぶ"感じ。
ベンゾジアゼピンって、ほとんど麻薬なのかもしれない。
実際にそういった見解を持つ医師も多いと言うし。