母の自慢話列伝
あれは10年ほど前の大学生時代、私は初めて母に彼氏を紹介した。
挨拶もそこそこに、母は早速彼氏にマシンガントークを喰らわせてきた。
父が慶応出身でラグビーをやっていた事、卒業後は当時就職したい企業No.1だった〇〇社に入社した事、その後、外資系企業に転職した事・・・etc
会話と言うよりも、独演会を聴いている感じだった。
これには娘の私もかなり面喰らった。
当時の彼氏は「うさばら氏のお父さん優秀なんだね・・・俺じゃダメって事かな・・・」と言っていて、申し訳ない気持ちになった。
母は、娘にも娘の彼氏にも気持ちがいいほど興味がない。
分かってはいたが、少し悲しかった。
後で母に、「なんでそんなに学歴や肩書きの自慢話ばっかするの?恥ずかしいからやめて!」と訴えたが、「なによー、ただ言っただけじゃない」と答えにならない答えを返されて終わった。
時は移ろい10年後、両親に現旦那を紹介した際の事。
挨拶もそこそこに、会話の序盤で母は強引にハンドルを切り、トークテーマを「親戚の学歴、肩書き」に持って行った。
恐らく、「祖父が慈恵医科大に合格していたのに蹴った」というエピソードに、私が「もったいない」と反応してしまった事が原因だろう。
現場は母の独壇場。
知らない・会った事がない・これからも会わない親戚が、いかに優秀かを延々聴かされた。
これから結婚して私の旦那になる人を連れてきても、母は興味を示さなかった。
私は怒りや悲しみを越えて、心底呆れていた。
後で母に一応、「どうしても学歴や肩書きの自慢話をしないと気が済まないの?」とたずねたら、再び「なによー、ただ言っただけじゃない」と答えにならない答えを返された。
この人はある意味ブレない。